強者の最新手筋100 レビュー
こんにちは、DIOBRANDOです。
先日とある雀荘で場代チャラさんと出くわしました。
私と入れ違いになる形で着卓していましたが、大きな笑みを浮かべており、その姿には余裕が感じられました。
この人きっと勝つんだろうなと思い、後にしました。
さて今回は「ネット麻雀完全対応! 強者の最新手筋100」をレビューしようと思います。
定価 1490円+税
ページ数 230
出版社 マイナビ
著者 比嘉秀仁
初版第一刷発行 2015.6.30
対象 上級者(天鳳七段以上)
比嘉秀仁とは日本プロ麻雀協会所属のプロで、本名をIDにして天鳳もやっておられ、十段経験者でもあります。
私がこのプロを知ったのも天鳳からですが、本名をIDにしているところが面白いなと思い、好感を持っていました。
他にも本名をIDにして天鳳を打っているプロがいますが、結構リスクがあって中々できることではないと思います。
この本はネット麻雀天鳳とリアル麻雀フリーの中から100の局面を厳選し、立体配図のまま天鳳で実績を出されている方々に、次にどうするかを答えて貰うという珍しい形式になっています。
1題につき回答者は3人います。
テーマを立体配図にするというのは、麻雀を扱う上では重要なことだと思います。
同じ手牌でもどう捌いていくかは、場況によって異なりますからね。
ホーリー本も雀ゴロK本も平面図でシンプルにしすぎている嫌いはありましたが、この本はその点がしっかりしています。
またネット麻雀を中心に扱われた本というのも、今まで無かったのではないでしょうか。
ベタオリをテーマにした次の一手問題なども珍しいと思いました。
いろいろ斬新な試みが感じられ、独創性のある麻雀本だと思いました。
きっと本人も今までになかった物を作りたかったのではないでしょうか。
しかし扱われているテーマですが、非常に難解な局面が多く、回答者でも意見が分かれていました。
やはり麻雀に限っては感性も重要で、答えは一通りではないというのが改めて分かりました。
考えるべきポイントは大体一致しているのに、なぜ回答は異なるのか、麻雀の不思議なところです。
きっとそれぞれの感覚でバランスを取っているのだと思います。
この本は麻雀上級者向けです。
天鳳ですと七段以上で、鳳凰卓で成績が伸び悩んでいる人とかが対象です。
ちなみに私は相変わらず五段ですが、私にとっては難しく返って劇薬です。
ぶっちゃけ私くらいの雀力でしたらどっちでもいいのです。
もっと切り詰めるべきところは他にあります。
例えば以下の局面です。
オーラスの親でラスを回避したい局面です。
ラス争いの上家からリーチが入っており、ツモは後一回で七筒を持ってきたところですが、あなたなら何を切りますか?
よくよく考えたら、喰ったゲンブツの四萬を切っていくより無さそうですが、私は七筒をツモ切って放銃してしまいました。
こちらの方がテンパイになる確率は高いと踏んだのですが、さすがに危険過ぎました。
次の私のツモが五索だったのが悔やまれる一局です。
このように特上卓くらいの人であれば、上級者でも意見が分かれるような難問は必要なく、単純にケアレスミスを無くすように努めた方が勝率が伸びると思います。
具体例を挙げますとP175
東一局 2巡目 西家
二三三五④⑤⑥⑦⑦⑧⑨8発 8ツモ ドラ発
東初の平たい局面で8をツモり、2巡目にして早くもイーシャンテンという手牌で何を切るかという問題で、回答者は全員発切りで一致していました。
しかし私の感覚では⑦を切る一手なのです。
この手牌で発を鳴かれても嫌ですし、後で被っても嫌です。
親でもなく赤も無い打点の安いこの手牌なら、発を絞り気味に打ちたいです。
その後に一が入ったら発切りダマ、四が入ったら発切りリーチです。
これも一理ある考えだと思います。
どちらが正しいとかではなく、その後に打牌のスジが通るようにバランスを保って打てればそれでいいと思います。
要は好みの問題だとということです。
上述の牌姿によく似た手が入りました。
この本を読む前でしたら、私なら多分八筒を切っていたと思います。
しかし上述の問題が頭をよぎり、中を切るものなのかな?と思い中を切ってしまいました。
すると2巡目に中をツモり、五巡目にも中をツモりやるせなかったです。
劇薬というのはつまりこういう事で、自分の打ち方にぶれが生じてしまうのです。
ある程度自分の打ち方が確立されている(中級者で天鳳なら特上卓クラス)なら、ほとんど好みと取れるようなところは置いておいて、それよりもミスをしないように心掛けた方がよほど重要かと思います。
鳳凰卓クラスになって、もうほとんど切り詰める所がなくなってきた時は、この本はもしかしたら新たな道しるべになってくれるかもしれません。