神速の麻雀 堀内システム51 レビュー
こんにちは、DIOBRANDOです。
今回は「神速の麻雀 堀内システム51」をレビューしようと思います。
定価 1400円+税
ページ数 167
出版社 洋泉社
著者 堀内正人
編者 福地誠
初版第1刷発行 2015.2.27
全ての麻雀ユーザー
堀内正人と言えば、2013年の第30期十段戦で悪質な三味線行為を行っただとかで失格処分になり、大きな物議を醸し出した人です。
私が動画を観た限りでは「これのどこが悪いの?」という感じでしたが、後で調べてみますとどうも麻雀連盟の腐った体質が背後にあったのですね。
要は出る杭は打たれるといった、日本社会ではよくある事例の犠牲者になってしまったというところでしょうか。
連盟と堀内プロ(以下ホーリー)との間に何があったのかは分かりませんが、少なくともこの本を読んで、こういう麻雀を打たれて負かされたとあれば、魅せる麻雀によってファンを集めている連盟にとっては面白くないだろうなと思いました。
「究極のファーストフード麻雀」と帯には自嘲気味な一文が目を引きましたが、中を開けてみますと麻雀ってこんな風に打つものなのかなと狐につままれたような感じになってしまいました。
正直驚きました。
麻雀というのは人対人のゲームで、人によって打ち方は全然変わるし、場況によっても全然異なるのに、こんなに決め付けちゃっていいのかなと思いました。
しかしデータに裏づけられており、ホーリー自身がそれで結果を残してきているので、妙に説得力があり、麻雀の違う一面を見た感じがしました。
ちなみにこの本は麻雀の戦術書にしては、見やすくて分かりやすいので私は5日で読めました。
私が麻雀に関してかねがね疑問に思っていたことなどにも明確に答えてくれており、買って良かったなと思いました。
この本によると、堀内流はデータ的根拠から期待値が少しでもプラスになるように打牌や鳴きを選択するため、答えはほぼ一つしかなく誰が打っても同じになるようです。
それがファーストフードのゆえんですが、データから導いているのであれば、確かにこう打てばかなり高い勝率が期待できると思います。
この打ち方を見て、私はむこうぶちの日蔭を連想してしまいました。
日蔭といえば手役よりもスピードを重視する効率打法で、祐太に「この打ち方を徹底すれば、例え傀が相手でも利益は出る筈だ。」とまで言わせた裏プロ雀士です。
イメージ的にはあながち間違っていないと思います。
しかしこう言う打ち方は、最初に出てくる通り徹底がキモなのです。
これができないのです。
っていうかできる人は多分世界でホーリーただ一人だと思います。
ファーストフードなんてとんでもない、これが徹底できるのであれば、それだけでオリジナリティ溢れるプロの芸だと思います。
ただ麻雀というのは人対人のゲームで、やはり完璧なシステムというのは存在しないのです。
もし存在するのであれば、麻雀自体が廃れてしまいますからね。
もしホーリーと対戦する機会のある方は、逆の発想で攻めていくといいと思います。
つまり打点が高くなる方向に手牌を進めていくのです。
ドラとか赤とかをペンチャンカンチャンになったとしてもできるだけ使い切るように、三色やホンイツなどは決め打ちしてしまう感じです。
牌効率は悪いですが、3人共こういう打ち方したら、誰か一人くらいはホーリーの早い手に追いつけそうなものです。
そういう人がぶつかっていけばいいのです。
のみ手でも先制リーチを掛けてきたり、ドラもないのに役牌を一鳴きするホーリーは、平均打点は高くない筈ですから、きっと毎回分の悪い差し合いを強いられる羽目になると思います。
この本は得るものが多く、自分の麻雀と比較しながら何度か読んだのですが、妙に感心したのがP23の牌2です。
一二三五六②③④⑦⑧22発発 ドラ北
巡目が深くならないうち(大体9巡目以内)は、発を残し2を切った方がスピード的にいいそうです。
この形は実戦でもたまに出てきますが、私は発のトイツ落とししかやっていませんでした。
安牌を残しながら手を進めていく味がいいからです。
もし2を切って発を喰えたとしても雀頭がなく、この瞬間がいやな感じがするからです。
しかしもう一つ喰えれば単騎ころがしになるし、発を喰う前にどちらかのシュンツが完成したとしても同じリャンメン待ちで、1300と2000ではそれほど差がないため、ピンフに固執する理由もなさそうです。
その場合はリーチを掛けなければ役にならないのが欠点ではありますが、こちらの方がいいのでしょうね。
そんなもんかなと思ったのがp71の牌8です。
三四五六七②②③③④④⑤⑤ ドラ⑤
祝儀ありならハネ確でもリーチとありますが、いくら3メンチャンとは言えハネ満あれば私ならダマで手堅く上がりたいところです。
もし誰かリーチして、その人の河に上がり牌がないなら、喜んで追っかけます。
しかしリーチを掛けてツモれば倍満ですから、祝儀も考慮すると長期的に見てそちらの方がいいのでしょうね。
疑問に思ったのが、p30の牌8です。
三四五七七⑦⑦⑦⑧⑨456 ドラ北
中盤ならこれでリーチするそうですが、まだ手が伸びそうで勿体ない感じがします。
自分の河に四があるならこれでリーチしますが、ないならダマにしてリャンメン受けの変化に期待したいところです。
リーチのシステムばかり見てしまいましたが、リーチによるツモれるエクイティと一発裏ドラのエクイティ、そして何より相手を牽制するエクイティを重要視しているんだなというのが読み取れました。
鳴きのシステムも完成度が高いです。
これがリアルで実戦でできるなら本当に強いと思います。
鳴きというのはオンラインではできるのですが、リアルでは結構見逃してしまうものなのです。
以外な牌が切られると反応できなくて、何度もポンし損ねて上がりを逃したこと数え切れません。
恥ずかしながら今でもやってしまいます。
リアル麻雀での上がり逃しのミスは、私の場合大体鳴き損ねがほとんどです。
例えば例を出します。
この状況はよくよく考えると、もう形テンに向かうより無さそうです。
南場でこの点差を考えるとレンチャンが欲しい、九萬が3枚切れてシュンツを作るのが難しい、中盤過ぎてリャンシャンテンでは少し遅いと言った理由からです。
これがオンラインだったら八萬が出てから考える時間があるので、これらの状況を把握して喰えるのですが、リアルだとその時間が与えられないためどうしても反応しきれないのです。
私ならリアルでこの状況だったら、多分このポンは見逃していたと思います。
鳴きというのはリアルではそれだけ難しいのです。
押し引きはある程度強くなると皆できて当たり前で、差がつくのはホーリーも言うようにやはり鳴きだと思います。
この本を読み終えて天鳳でこの打ち方を試そうと思いましたが、やはりできませんでした。
フラストレーションの溜まる展開で漸くこの局面を迎えましたが、ホーリー本によるとここはリーチする感じです。
リャンメン好形ですし、タンピンドラ1ならまさに絶好のリーチと言えそうです。
しかし中々それができないのが実戦です。
一人が抜け出して三人が1万点台で、三人は何とか他の二人から抜け出してやりたいというのが人情です。
ここまでの展開から皆そこそこ打てる感じです。
序盤のリャンメンがツモれないというのは珍しいことではなく、他の三人に降りられると供託リー棒を1本増やすだけです。
南2局ということも考え、ここはダマで手堅く3900を上がって、リー棒と積み棒もいただきたいところです。
結局ダマにしましたが、次に二萬をツモりました。
ホーリーや寿人プロだったら、一発でツモってたところなんだろうなと思いました。
これがピンのワンスリー祝儀1枚500円だったとしても、やはりダマにしていたと思います。
私に限らず多くの方はそうするのではないでしょうか。
つまりホーリー流を徹底するというのは、それなりの度胸と覚悟、強い意思が必要なのです。
私にはやはり真似できないので、自分の麻雀を追及していこうと思います。